強制執行時の第3債務者( 銀行 )に対する姿勢

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2010年03月05日

強制執行時の第3債務者( 銀行 )に対する姿勢




プライメックスキャピタル( キャスコ )のように、

第3債務者( 銀行 )を味方につけているかのごとく、

預金口座から頻繁に出金手続きを繰り返すことによって、

強制執行手続きを不当に回避しようとする、

強制執行妨害罪( 刑法96条の2 )を構成させる犯罪行為を行う、

詐欺商法構成員のような行為への幇助をする、

第3債務者( 銀行 )に対し牽制する意見表明。


*強制執行妨害(3)

1、財産の隠匿、損壊、仮装譲渡、仮装の債務負担

2、財産‥動産、不動産のほか債権も含むとするのが通説。

3、隠匿とは‥強制執行を実行しようとする者との関係においてその財

  産の発見を不能ないし困難にさせる行為をいう。

4、銀行から預金を引き出し、従来取引のない銀行に他人名義で預ける

  ことなど

5、「 財産の隠匿には、財産の所有関係を不明にする行為をも包含する

  ものと解するのが相当であるから、( 中略 )共謀のうえ、

  仮装の競売手続により、右債務者の所有物件があたかも、

  仮装の競落人である○×の所有に帰したかの如く偽った行為を、

  財産の隠匿に当るとした原判決の判断は正当である。」

  最決昭和39年3月31日( 刑集18巻3号115頁 )

6、損壊とは・・有体物を物質的に手を加え、その財産価値を失わせ、

  あるいは減少させる行為をいう。

7、仮装譲渡とは‥財産の譲渡が行われていないのに、

  第三者と通じるなどして、形式上財産が第三者の所有に、

  なっているようにする行為。

8、仮装の債務負担‥債務がないのに債務を負担しているように、

  装うことである。


【 強制執行妨害罪( 刑法第96条の2 )について pdf 】
ダウンロード



「 預金債権の執行について、

差押命令送達の日から3営業日の間に発生する

( 増加する )預金部分について包括的差押命令が発せられた事例 」

( 消費者法ニュース2009年7月号( 80号 )で、
  紹介されている裁判例です。)


強制執行の対象となる預金は、

送達時の時点の預金とされていることから、

送達時以降に入金があった場合には、

差押えの対象とはならないことになります。

今回の裁判例のように、一定の時間的期間に生じる預金債権を、

将来債権として押さえることが可能となれば、

強制執行の実を挙げることが可能となります。


平成21年3月5日付け奈良地裁決定、

平成21年3月25日付け高松地裁観音寺支部決定は、

積極的な立場をとりました。

奈良地裁や高松地裁の考え方が浸透しているのかまだまだ未知数ですが、

詐欺商法構成員は、

預金口座から頻繁に出金手続を繰り返すことにより、

強制執行手続を不当に回避しようとする者もいるため、

認められるとすれば、消費者の救済につながることもあるため、

今後の決定例を注視していきたいと思います。

★田舎弁護士の訴廷日誌( 四国・愛媛 )より引用。
詳細はこちらから




平成21年(ル)第77号

            当事者  別紙目録のとおり

            請求債権 別紙目録のとおり

      債権差押命令

1、債権者の申立てにより、上記請求債権の弁済に充てるため、

  別紙請求債権目録記載の執行力のある債務名義の正本に基づき、

  債務者が第三債務者に対して、

  有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる。

2、債務者は、前項により差し押さえられた債権について、

  取立てその他の処分をしてはならない。

3、第三債務者は、第1項により差し押さえられた債権について、

  債務者に対し、弁済してはならない。

       平成21年 3月 5日

              奈良地方裁判所  

  


        請求債権 目 録

東京地方裁判所平成19年(ワ)

第34244号損害賠償請求事件の執行力ある

第3回口頭弁論調書( 判決 )正本に表示された

下記金員及び執行費用

           記
1、元 本               金200万円

   ただし、元本金505万8,005円の内金として。

2、執行費用              金7,770円

( 内訳 )

本申立手数料              金4,000円

本申立書作成及び提出費用        金1,000円

送達費用                金2,320円

執行文付与申立手数料           金 300円

送達証明申請手数料            金 150円

合計              金200万7,770円




        差押債権 目 録

( 第三債務者 株式会社三菱東京UFJ銀行分 )

            金200万7,770円


ただし、債務者が第三債務者( 堀留支店扱い )に対して有する

下記預金債権及び同預金に対する預入日から本命令送達時までに

既に発生した利息債権にして、

下記記載の順序により頭書金額に満つるまで。

          記

口座の表示:普通預金口座、口座番号

      口座名義人 *****

差し押さえる普通預金の時的範囲

本命令送達の時から3営業日以内に

上記口座にかかる普通預金債権となる部分

( 本命令送達の時に存在する預金及び、

同日を含む3営業日が経過するまでに受入れた、

金員に妄って構成される部分 )


元本受入れ時期の前後によって順序を付する必要があるときの順序

元本の受入れ時期の早いものから( 頭書金額に満つるまで )



        意見書

             債権者代理人弁護士 荒井 哲朗
                 同     白井 晶子

1、本件差押命令の申立の目的とするところ

詐欺商法構成員には、

預金口座から頻繁に出金手続を繰り返すことによって、

強制執行手続を不当に回避しようとする傾向が

如実に見られるところであり、

本件申立はそのような強制執行妨害罪

( 刑法96条の2 )を構成させる犯罪行為に対抗して

債権執行手続の実効を図ろうとするものである。


現在でも、預金は事実上差押禁止財産となっているという

異常な事態が生じていることは、

いわゆる振込め詐欺などの被害回復が

現実に著しい困難に直面していることからも容易に知れる。


このような事態が続けば、法律による権利の実現

( 債権の満足はその圧倒的部分を占める )が

適切になされないということになり、

権利の実現は法的手続によるよりもいわゆる

「 アウトロー 」に頼む方が有意であるということになってしまう。

そのような法律が是認しないような方法が、

権利の実現のために迅速で、安価で、

確実であるなどというような社会は異常である。


執行手続の無力化は民事訴訟制度全体を崩壊させる。

民事訴訟制度は、債務名義が実現されるということを前提に

運用されているのであって、

民事訴訟で勝訴しようが敗訴しようが

現実の支払とは無関係であるということになれば

( 預金執行の恒常的不奏功は他の包括執行等の手続の

存在を考えてなお、現実にはこのような事態をもたらすものと

考えられる。)

民事訴訟制度は国民の頼るところではなくなることが明らかである。


債権が法律上一個であることからすれば、

理論的には流動性預金に係る基本契約の特定

( 口座の特定にまさる基本契約の特定はない。)が

なされる以上、一定金額に満つるまでの金額を期間の限定なく

( あるいは少なくとも診療報酬債権の将来債権の差押が

実務上認められている1年間程度は )

許容するべきであると考えるが、

今回は、第三債務者の一時的混乱を最少限度にとどめるために

期間を3営業日という著しい短期間に設定することとした。


2、本件差押命令が発令された場合の混乱の予測

本件差押命令に従った差押手続を行うためには、

第三債務者は、3営業日の間は債務者から、

払い戻しの求めがなされてもこれを止める、

いわゆる出金停止措置( 旧銀行取引約定書に、預金者または

保証人の預金その他の銀行に対する債権について

差押命令が発送されたときは当然に期限の利益を失って

銀行に対する預金その他の債権の全てが当該銀行に対する

債務の引当とされると規定されていたところである

( 旧銀行取引約定書第5条1 項3 号 ))を

執行手続のために用いることになるところ、

銀行はこれを出来れば避けたいと考えるものと予測される。


しかし、金融機関以外の第三債務者は、慣れない手続による

相当の負担を圧して執行手続に協力しているのであり、

裁判所はそのような現実を正視しなければならない。


むしろ、銀行等金融機関は、

報償を得て独占的に預金の受入を行うことを

公認された事業者として、適正な債権執行を可能とするように

業務を行うべき( 民事執行制度に服する組織として当然の )

法的責任があり、( 巨大な金融機関の一つとしての )

社会的責任があるというべきであろう。


仮に、ある銀行が、システムや約款を改定して

裁判所に協力しやすいようにした場合、

組織的な詐欺商法を行う者らは、

そういう銀行には預金口座を開設せずに、

裁判所に「 非協力的 」な銀行に口座を開設することになるだろう。

( ヤミ金融業者は取締りが厳しくなるにつれて口座の凍結をしな

い銀行を利用する顕著な傾向が見られた。)


そうすると、結局、裁判所に「 非協力的 」な銀行であればあるほど、

法令の実現に「 非協力的 」であればあるほど、

「 儲かる 」ということになりかねない。

「 銀行が司法に協力しないほうが儲かる 」ことを助長するような

愚をおかしてはならない。


結語

以上のとおりであって、本件差押債権である普通預金債権について

これを法律上、社会・経済上一個であると評価して

包括的( 将来債権の )差押命令の対象とする本件申立は、

その必要性は明らかであり、債務者及び第三債務者に

格別の不利益を負担させることにもならず、

かえって差押実務の簡易迅速に資するものであって、

債権の包括的執行を許容することとの均衡の観点からしても、

許容されるべきである。

理論上は許容されるべきものであるが、

実務上行われていないため、

混乱が生じることを慮って、口座番号まで特定した上で

( 通常の預金執行は支店を記載するのみで

口座番号はもちろん預金の種類すら表示しない。)

3営業日という極めて限定した期間のみを対象とすることとした。


本件申立は上記のような検討・配慮をした上でするものであることを

ご理解いただき、速やかな発令を期待するために、

上記のとおり意見を述べることとした次第である。

以上


【 平成21年3月5日 奈良地方裁判所
  強制執行 債権差押命令.pdf 】
ダウンロード




山下勝利
posted at 22:38
カテゴリー:過払い金
エントリー:強制執行時の第3債務者( 銀行 )に対する姿勢
               
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